サラリーマンは源泉徴収だし、年末調整もしているから、確定申告は無関係だと思っていませんか?
でも確定申告するべき場合と、したほうが節税になる場合があるんです。
《確定申告するべき場合》
この場合は、申告して税金を払わなければなりません。
1.給与の年間収入額が2,000万円を超える人
2.副業収入が20万円を超える人
3.給与の支払いを2か所以上から受けている人
4.災害減免法によって源泉徴収の猶予などを受けている人
5.源泉徴収義務のない雇用者から給与の支払を受けている人
6.同族会社の役員などで、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
《確定申告すると節税になる場合》
この場合の確定申告は「還付申告」と言って、その条件に該当して申告した場合は、
納め過ぎた税金が戻ってきます。
1.中途退職し、再就職しないで年末調整ができずに、源泉徴収税が納め過ぎになっている人
2.住宅ローン控除を初めて受ける人
3.マイホームの特定改修工事をした人
4.認定住宅を新築した人
5.災害や盗難などで損害を受けた人
6.年間の家族全員の医療費支出が10万円以上
(総所得金額が200万円未満は総所得金額の5%以上)になった人
7.慈善団体などに寄附をした人
8.特定支出控除の認定を受ける人
9.年末調整後に内容変更や申告漏れがあった人
《8.特定支出控除とは?》
上記の「8.特定支出控除」はあまり知られていませんので、少し詳しく説明しましょう。
特定支出控除とは、サラリーマンの経費として認められるものを、特定支出として所得から控除することです。
以前からありましたが、平成25年に大幅改正され、認められる範囲が拡大したり判定基準が緩和されました。
それによって、控除を受けられる可能性は拡大しました。
1.特定支出控除として認められる費用
①通勤費・・・一般的な通勤に必要な通勤費用
②転居費・・・転勤に伴う費用
③研修費・・・仕事に必要な技術・知識を得るために必要な費用
④資格取得費・・・仕事に必要な資格を得るための費用
⑤帰宅旅費・・・単身赴任者などで、勤務地と居住地間の費用
⑥勤務必要経費・・・合計額が最高65万円まで
・書籍、定期刊行物などの資料費用
・仕事上の制服など、義務付けられている衣服の費用
・接待費用
2.特定支出控除の条件特定支出は「給与支払者がその必要性を認めたもの」に限定され、
控除を受けるには会社の「証明書」が必要です。
また、給与の支払者からその支出に対して補助があった場合には、
補助された金額は特定支出額から引かれます。
基本的には自己の実費支出分のみが、特定支出控除の対象となります。
3.特定支出控除額の基準金額1年間の給与などの収入金額が1,500万円以下の場合は、
その年の給与所得控除額×2分の1。
1年間の給与などの収入金額が1,500万円超の場合は、125万円です。
この基準金額を上回った分が特定支出控除額になります。
4.特定支出控除額の計算例まず、給与所得控除額の計算方法を把握しておきましょう。
給与などの収入金額が、180万円以下は「収入金額×40%」、
180万円超~360万円以下は「収入金額×30%+18万円」です。
360万円超~660万円以下は「収入金額×20%+54万円]、
660万円超~1,000万円以下は「収入金額×10%+120万円」です。
1,000万円超~1,500万円以下は「収入金額×5%+170万円」、
1,500万円超は245万円が給与所得控除額になります。
〈例〉収入金額が500万円の人の給与所得控除額は「500万円×20%+54万円=154万円」です。
その場合の特定支出控除額の基準金額は「154万円×2分の1=77万円」です。
特定支出額が100万円の場合は、「100万円-77万円=23万円」が特定支出控除額になります。
この23万円の特定支出控除額を、確定申告で還付申告すればいいわけですね。