平成23年の確定申告より、年金のみの収入が400万以下の方は「確定申告は不要」となりました。
広報などによりご存知の方も大勢いらっしゃると思います。
特に高齢になるほどに、複雑な書類とにらめっこしたりと言った、
余分な時間と手間を省けることは有り難いですね。
ところが、ここには意外な落とし穴があるのをご存知でしょうか。
確定申告には、払いすぎた分の税金を取り戻す作業が含まれています。
例えば医療費、生命保険料などを納めていらっしゃる方は、
確定申告をする事で「年金に課税された」分の税金については還付の対照となる場合があります。
また、扶養家族がいらっしゃる方、障害のある方なども申告するメリットは同様に大きいのです。
そして、確定申告は今年度の「所得税」に対して行う精算の手続きなのですが、それだけではありません。
それとは別に、翌年度の「市県民税」の金額の判断基準としての意味合いも持っているのです。
もし、年金が400万以下だから、と確定申告をしない場合は、
翌年度の「市県民税」を算出する正確な金額が分からない、という事になるのです。
確定申告の対照となる、受給した年金の金額は市町村にも通達されます。
そこに、控除の対象となる金額を届けなければ受給した金額全てが「市県民税」の算出の元になってしまい、
当然高額になってしまいます。
つまり、・申告をした場合
「年金の受給額」-「控除の対象となる金額」= 翌年度の市県民税の算出の元の金額
・申告をしなかった場合
「年金の受給額」= 翌年度の市県民税の算出の元の金額
となる訳です。
こうして見てみると一目瞭然ですね。
ですから、確定申告を行うことで、今年度の「所得税」の還付はなくても
翌年度の「市県民税」の金額が大きく変わってくる場合があります。
逆に確定申告を行わない場合は、改めて市区町村で「市県民税」に対する申告が必要となることもあります。
とても分かりにくい制度ですが、確定申告の時期はほとんどの市区町村で
出張窓口などを開設していると思いますので、
年金の源泉徴収票や医療費の領収書や支払った保険料の証明書など、
取り敢えず控除の対象となりそうな資料を持参して相談されるのも一つの方法かと思います。
分かりにくいと思いますので、一度整理をします。
・年金が400万以下でも、控除の対照になるもの(医療費や生命保険、扶養控除、障害者など)があれば
「所得税」の申告をした方が良い場合もある
・確定申告をしない場合で翌年度の「市県民税」の金額が変わる場合は申告が別に必要になるということです。
年金額も少しずつ減少し、消費税も増税・・・という状況の中で、少しでも節税の対策になればと思います。